ホワイトニングの目的や使用する薬の種類について

汚れた歯は非常に見栄えが悪く、不潔な印象を与えてしまいます。それだけではなく、汚れから発生した悪臭によって口が臭いと忌避されてしまう可能性も否定できません。歯にこびりついた汚れは歯磨きでは除去するのが難しいため、漂白で目立たなくさせるホワイトニングが効果的な対処法です。

ここではホワイトニングの方法や使用する薬の種類、健康上の注意点について説明します。

歯に汚れがこびりつく仕組みや弊害について

歯に付着するしつこい汚れはステインとも呼ばれ、普通の歯磨きでは取り除くのが困難です。自分ではしっかりと歯を磨いているつもりでも、いつの間にか歯が汚れていたという事態は珍しくありません。しつこい汚れの主成分はお茶やコーヒーなど一部の飲食物に含まれているポリフェノールやタバコのヤニです。

単に歯の表面に付着するだけではなく、唾液中のたんぱく質との結合によって歯にべったりと固着してしまうのです。こうなると市販の歯ブラシで磨いても取り除くことができず、いつまでも汚れたままになってしまいます。

また、食べ物のかすなど他の汚れも混ざった状態でこびりつくことが多く、黄土色や茶色に変色して見栄えが悪くなるのです。歯の汚れがもたらす弊害は見栄えの悪さ以外に悪臭もあります。汚れの成分が腐敗し、不快な臭気が発生することで口が臭い状態になってしまうのです。

歯の汚れを除去しなければ不快な臭気は消えず、いつまでも口が臭いままになってしまいます。口臭は自覚するのが難しく、他人に指摘されて初めて気がつくことも珍しくありません。歯が汚れていたら口も臭い可能性が高いので、速やかに適切な処置を受けることが大人のマナーと言えるでしょう。

歯科医院で行うホワイトニングの特徴や注意点

歯にこびりついたしつこい汚れを取り除く方法として広く普及しているのがホワイトニングです。名前の通り、歯を漂白することで白く輝く状態に改善させることができます。使用する薬剤には漂白作用がある過酸化水素が含まれているので、少量の塗布で効果的に汚れの色素を分解させることができます。

薬剤の中には過酸化尿素が使われている物もありますが、分解によって過酸化水素に変化するので漂白作用に大きな違いはありません。歯科医院でのホワイトニングは薬剤による漂白と歯石化した汚れの固まりの除去を併せて行うのが一般的です。

歯の表面に薄く付着するケースは稀であり、大抵は歯石化した汚れの固まりがべったりとこびりついた状態になっています。そのため、単に色素を分解させるだけではなく、歯石の除去も行う必要があるのです。

軽微な状態なら一度の処置で綺麗になりますが、元の色が分からないほどに汚れている場合は複数回に分けてホワイトニングを行うことになります。ホワイトニングは審美治療なので患者が費用の全額を支払うことになり、回数が多くなるほど出費が嵩むので事前の確認を忘れてはいけません。

また、虫歯などによって状態が悪くなっている歯や治療による詰め物が施されている歯はホワイトニングが不可能です。妊娠している女性も健康上の問題からホワイトニングができません。歯を綺麗にするには虫歯を治す、妊娠中は避けるなど体調を整える必要があります。

セルフホワイトニングとは

歯を綺麗にしたいが歯科医院を受診する時間が無いと悩む人に適しているのがセルフホワイトニングです。自分で歯のホワイトニングを行うことで綺麗な状態に改善させることができます。わずかな空き時間を利用して行うことができるので多忙な人に向いている方法ですが、その一方で歯科医院でのホワイトニングのような劇的な改善を望むのは難しいのも事実です。

使用する薬剤に過酸化水素が含まれていないので、ひどい汚れを目立たなくさせる程度の効果に留まります。薬事法によって過酸化水素によるホワイトニングは歯科医師や歯科衛生士しか行うことができないと定められているので、輝くほどの白い歯を望むなら歯科医院を受診するのが賢明でしょう。

健康上の問題について

歯を漂白して綺麗にするホワイトニングは刺激が強く、歯を傷めるイメージがあります。短期間に何度もホワイトニングを行えば漂白時の刺激で歯が傷つくおそれはありますが、歯科医院では歯の状態を見ながら薬剤の量や処置の間隔を決めるので健康面でのトラブルはほとんど起きません。

また、ホワイトニングの際に薬剤を誤って飲み込んでしまうこともありますが、少量なら問題はありません。一方でセルフホワイトニングの場合、力の入れ具合を誤って歯を傷つける可能性があります。早く綺麗な状態にしようと力任せに磨いてしまうケースも少なくないので、セルフホワイトニングは慎重に行うことを忘れてはいけません。

ホワイトニングは虫歯など歯に疾患がある状態では行うことができませんが、これは使用する薬剤が患部に触れると強い痛みが生じるためです。また、ホワイトニングと虫歯治療を一緒に行うことはできないので、ホワイトニングを優先させると虫歯の症状が悪化します。

健やかな状態を保つことで初めて美しく仕上げることが可能になります。そのため、まずは虫歯など歯の不具合を治すのが美しい歯にする第一歩です。

ホワイトニングの効果が続く期間や汚れを防ぐ工夫

ホワイトニングは薬剤によって歯の汚れを漂白し、綺麗な状態に仕上げる処置です。日々の生活の中で次第に汚れが付着することから、ホワイトニングの効果が続く期間は3か月ほどとされています。そのため、白く輝く綺麗な状態を保つには3か月ごとにホワイトニングを行うのが最適と言えるでしょう。

また、暮らしの中で歯を汚さない工夫も必要になります。

お茶やコーヒーの摂取を避ける、タバコを吸わないなどしつこい汚れをもたらす物を口に入れないのが効果的な方法です。歯の変色は汚れに限らず、加齢によっても起こります。これは歯を構成する象牙質が加齢によって色が濃くなるためです。

口内環境を良好に保ってもある程度の変色は避けられません。いつまでも白い歯を保つなら汚れが付着していなくてもホワイトニングが必要と言えます。

歯の健康管理の意識を変えるのが美しさを保つ秘訣

歯の汚れを取り除いて白く綺麗な状態に改善させるホワイトニングは不快な口臭を軽減させる効果もあります。歯の汚れは毎日の生活の中で少しずつ蓄積されるので、日頃から口内環境を良好に保つことが綺麗に保つ秘訣です。

ホワイトニングも定期的に行うことで、いつまでも白く輝く美しい歯になります。歯の健康管理に対する考え方を見直すことが重要と言えるでしょう。